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2019年度 湘南高校入試結果分析

これまで各高校で行われてきた特色検査が、2019年度入試で変わりました。

 

その影響はどのようなものだったのか。そして、今年の受験生が対策すべきこととは。

 

2019年度入試の結果を分析して見えてきた湘南高校受験対策をまとめてみました。

湘南高校合格者平均点

  英語 数学 国語 理科 社会 合計
2019年度

92.9

74.5

89.4

94.3

82.5

433.6
2018年度

94.3

85.1

92.0

82.4

81.4

435.2
2017年度

91.2

88.1

95.9

89.0

88.6

452.8
2016年度

87.4

84.9

92.5

84.1

93.4

442.3

湘南高校合格者の英語平均点は3年連続90点以上でした。

 

 

2019年度入試英語分析で、注釈数が増加し資料を読み取りながらの長文読解問題になって難易度は難しくなったと書きましたが、湘南高校受験生にはあまり影響がなかったようです。

 

 

それほどに英語力が高いということです。やはり、湘南高校をはじめとする難関県立高校を目指すなら、英語の得点力は必須ということですね。

 

 

そして、そんな英語の平均点を超えてきたのが理科。

 

 

以前の分析で「理科の平均点は英語を超えてくる」と綴りましたが、予想通りとなりました。

 

 

しかし、2020年度入試の理科は県教委も調整をかけて難易度が上がると思われますので、受験生は要注意です。

 

 

そして、今年の数学。

 

 

これが非常に曲者で、答えを導くまでの計算過程の手数が多い問題や問題文に盛り込まれた条件やルールを理解して考える問題など、これまでの数学入試問題よりも処理能力が問われたものでした。

 

 

そして、これらの陰に隠れてあまり目立ちませんが、社会は県立受験生の平均点が依然として40点台と低く出ています。

 

 

湘南高校合格を目指すなら、社会でも高い得点力を叩き出せるよう特訓が必要です。

夏休みにすべき受験勉強

湘南高校を目指す中学生が合格者平均点を見ると「私、こんなに取れるのかな。」と不安になるかもしれませんね。

 

 

大事なことは焦らず基礎をしっかり身につけること。

 

 

まだまだ「知識面で不安を抱えている。」「忘れてしまった単元がたくさんある。」などの不安を抱えている中学生は、この夏休みにしっかり中学1・2年生の内容を復習していきましょう。

内申点31からの逆転合格

さて、ここからは中学2・3年生の時の内申点が31だった受験生の逆転劇をご紹介します。

 

 

「内申点が足りないから湘南高校を諦めるしかない。」なんてことはありません。

 

 

これからご紹介するのはあくまで一例ですが、絶対に不可能というわけではないことを知っていただき、この夏休みの勉強の励みにしてもらえたらと思います。

 

 

下の表は4人の湘南高校受験生の内申点、学力検査得点、面接得点、特色検査得点と合否結果です。

  合否

中2

内申

中3

内申

学力

検査

特色

検査

面接

S1値

合計

S2値

合計

Aさん 45 45 392 77 100 969.0 981.2
Bさん 合格 31 35 451 53 100 928.4 1027.6
Cさん 合格 32 34 419 77 100 918.2 1024.4
Dさん 32 35 404 51 100 881.7 948.4

4人のS1合計値を見るとAさんの969.0点が一番高いにも関わらず、不合格となっています。

 

 

つまり、4人とも1次選考枠では合格できておらず、2次選考枠での戦いということを表しています。

 

 

そのことを踏まえて一人一人の合否の分析をしていきましょう。

オール5でも不合格になることはある

Aさんは中2〜中3の内申点でオール5でしたが、当日の学力検査で得点が伸びず、合格することができませんでした。

 

 

特色検査はまずまずの得点でしたが、1次選考基準で合格を逃してしまったのは学力検査の得点が低すぎたと言えます。

 

 

ちなみにその他のデータを見ると、同じくオール5で学力検査で389点だった生徒が特色検査で88点をとり、合格しています。

 

 

 

やはり、特色検査でも高得点が取れることは非常に大切ということです。

学力検査で逆転合格

Aさんに対してBさんとCさんの中学2年次と中学3年次の内申点を見ると、Aさんは中2の内申点31と中3の内申点35、Bさんは中2の内申点32と中3内申点34です。

 

 

正直、湘南高校を目指すにはかなり厳しい状況と言えます。

 

 

Bさんが内申点が低いにも関わらず合格できたのは、学力検査での圧倒的得点力だったからです。

 

 

これだけ取れていると、特色検査で多少得点が低くても大丈夫だったということです。

 

 

現状で内申点が30台前半の湘南高校受験生は、内申点対策から学力検査対策にシフトして、入試での得点力向上に集中して取り組んだ方が良いという一例ですね。

特色検査で逆転合格

Cさんは、学力検査の点数が合格者平均点よりも下回っています。しかし、特色検査で77点を取れているため、学力検査420点前後でなんとか合格にくらいつけたと言えます。

 

 

もしも5教科で苦手科目があり、得点力が伸ばせない科目があったら、その分を特色検査で補うという選択肢も考える必要があります。

 

 

ただし、今後の入試において特色検査を武器にするというのは少しリスクが高いです。

 

 

それをこの後、解説していきます。

特色検査で何が起きたのか

  湘南高校  希望ヶ丘高校 横須賀高校 平塚江南高校
  平均点 最低点 平均点 最低点 平均点 最低点 平均点 最低点
2019年度 77.15 53.00 64.34 42.00 60.36 32.00 58.34 32.00
2018年度 64.01 38.00 75.91 55.00 67.13 48.00 74.38 50.00
2017年度 63.52 10.00 67.33 40.00 61.59 35.00 86.56 70.00
2016年度 66.63 37.00 82.44 58.00 41.11 17.00 72.40 53.00

冒頭でも書きましたが、今年の特色検査は県教育委員会(実質湘南と翠嵐の先生)が問題を作成して実施しました。

 

 

いわゆる「湘南型」と「翠嵐型」の2種類に系統が分かれ、各高校がどちらかを選ぶ形式で実施されたのです。

 

 

上の表は、湘南高校と同じ問題を選んだ高校の平均点と最低点です。

湘南高校受験者は注意!

湘南高校の平均点を見ると2016年度〜2018年度入試まで一定して60点台だった平均点が、一気に10点以上上がり77点を超えてきました。

 

 

「簡単になったんでしょ?」「点が取りやすくなったならチャンスじゃん!」と思いますか?

 

 

そう、簡単になったんです。

 

 

湘南高校を受験するお子さんたちにとっては、これまで湘南が独自に作ってきた問題よりも簡単になり、得点しやすくなったのです。

 

 

しかし、それは皆が点を取りやすくなり「ライバルとの差がつかなくなった」ことを意味します。

 

 

最低点を見ても、2016年度入試から2018年度入試の最低点に比べて、点数が上がっています。

 

 

これを細かく分析してみたところ、2018年度の特色検査得点データは全部で94名分。そのうち60点未満だった受験生は41名でした。

 

 

それに対し2019年度入試の特色検査得点データでは、60点未満の受験生は145名中わずか15名。

 

 

このことからも、特色検査で得点差が開きにくくなったことがわかります。

学力検査と特色検査の相関関係

学力検査と特色検査の相関関係
※伸学工房提供データ抜粋

標準偏差について

  内申点 学力検査 面接 特色検査
湘南高校
希望ヶ丘高校
横須賀高校
平塚江南高校
横浜翠嵐高校

柏陽高校

厚木高校

上の写真は、特色検査の傾向分析をしたものです。

 

 

湘南高校は、左の楕円の中の左下に位置しています。

(※画像が荒く申し訳ありません。)

 

横軸は標準偏差を表し、右に行くほどライバル受験生とのさがでる高校です。

 

 

左の大きな楕円の中にある湘南高校・希望ヶ丘高校・横須賀高校・平塚江南高校は、特色検査の1次選考比率が1倍の学校で、満点が100点となります。

 

 

右の小さな楕円の中にある横浜翠嵐高校・柏陽高校・厚木高校は、1次選考比率が2倍の学校で、満点が200点となります。

 

 

この違いは、例えば特色検査でA君が70点でB君が75点だった場合、1次選考比率が2倍の場合、A君は140点でB君が150点となり、実質10点差がつきます。

 

 

ですから、横浜翠嵐高校・柏陽高校・厚木高校は特色で大きく差が開きやすいということです。

 

 

対して湘南高校・希望ヶ丘高校・横須賀高校・平塚高校は特色検査の1次選考比率が1倍です。この場合、A君とB君の得点差は5点のままとなります。

 

 

特色検査問題が湘南高校受験生にとって点が取りやすくなったこと、1次選考比率が1倍であること。

 

 

この2つが、湘南高校を受験する場合に特色検査勝負のリスクが高くなったのは理由です。

内申点30台の受験生は特色勝負も

しかし、内申点31から湘南高校合格を目指そうと思ったら、正直なところ1次選考枠での合格は厳しいでしょう。

 

 

そうなると2次選考枠での合格を狙うことになります。

 

 

特色検査高校の2次選考得点比率は下の表のようになります。

  内申点 学力検査 面接 特色検査
湘南高校  
希望ヶ丘高校  
横須賀高校  
平塚江南高校  
横浜翠嵐高校  

柏陽高校

 
厚木高校  

全ての学校で学力検査得点比率が上昇しています。

 

 

そして、湘南高校は特色検査得点比率が2倍になっています。

 

 

そうです。2次選考枠での合格を目指そうと思ったら、特色検査は捨てられないのです。

 

 

むしろ、どうしても苦手で得点が伸びない科目がある場合、特色検査を武器にする理由がここにあるのです。

学力検査との相関関係

学力検査と特色検査の相関関係
※伸学工房提供データ抜粋

写真のグラフの縦軸は、学力検査と特色検査の相関関係を示しています。

 

 

上に行くほど、学力検査との相関関係が強いことを示していて、学力検査得点が高い生徒は特色検査得点も高く出るし、学力検査得点が低い生徒は特色検査得点も低くなる、ということです。

 

 

湘南高校は下の方に位置していますから、相関関係は低い。

 

 

つまり、学力検査で点数が高くても特色検査で点が取れない場合もあるし、学力検査の点数が低くても、特色検査で点数が取れる可能性もある、ということです。

まとめ

内申点31からの湘南高校逆転合格を目指すなら、特色検査は捨てられません。

 

 

もちろん2次選考の学力検査得点比率も5倍から8倍に上がりますから、5教科の勉強を軸にすることが大前提です。

 

 

しかし、苦手科目を伸ばせないなら、「苦手教科で勝負」よりも「特色で勝負」というのも受験戦略のうちの一つとして対策を考えてみてください。

藤沢市辻堂の湘南高校受験専門塾 育秀会